グローバル内部監査基準の公開草案への海外コメント

目次

どうする、日本

内部監査人協会(IIA)のグローバル内部監査基準の公開草案へのコメントの日本語での回答は、6月18日(日)が締め切りです。公開草案を読んだ複数の内部監査部門長から「グローバル内部監査基準の草案は長すぎる。構成の大きな変更もあり、何をどこから読んでどう回答したらよいかわからない。参考となる意見はあるか」と聞かれました。

内部監査人協会(IIA)は、寄せられたコメントを公開していません。そこで独自に公表されている意見を探しましたが、日本では見つかりません。海外に目を転じると、3人の内部監査のプロフェッショナルが意見を公表していました。彼らの意見を読むと、グローバル内部監査基準を自分事で心配していることがわかります。この記事のご利用は、原典にあたり、ご自身の責任でお願いします。

1.Norman Marks 氏のグローバル内部監査基準への総合的な意見

IIA国際大会のNorman Marks氏の講演には、多くの参加者が集まります。彼はリスクマネジメントと内部監査の著名な専門家であり実務家です。これまでも内部監査人協会の活動に真摯に貢献する姿を見てきました。著書に「Auditing that matters、World-Class Internal Audit、World-Class Risk Management、他」があります。豊富な実務経験に裏打ちされた腹落ちする書籍です。

Norman Marks氏は、グローバル内部監査基準の公開草案全体の問題を捉えて意見を示したうえで、更に草案の1行1行を読み込んで、個々の問題を解説しています。彼は具体的に何をどう改善したらよいかを提案しており、情報量は多いが一読の価値があります。

  1. Norman Marks氏へのインタビュービデオ「A conversation with Norman Marks:Draft Standards: The Good, The Bad, and the Ugly(Norman Marks氏に基準草案について聞く。「良いところ、悪いところ、いやなところ」)」33分(2023.4.27)(「Internal audit 360°(内部監査の独立情報サイト」内)
  2. Norman Marks氏の公開書簡「Review of the Draft Global Internal Audit Standards(グローバル内部監査基準の草案のレビュー)」(2023.3.5)。これは内部監査人協会(IIA)の国際内部監査基準審議会および内部監査人協会(IIA)の経営陣他にあてたものです。入手はNorman Marks氏のWebsiteの「The efficient and effective internal auditor」ページをクリック、下方にスクロールします。***途中の「You can download a copy of my report here」をクリックしてはいけません***。もっと下の PS – I am open to panel or other open discussions of the draft.の次の行です。WindowsとiPad、iPhoneでダウンロード操作がわかれます。
    • Windowsの場合、四角い黒い枠の中の、下向き矢印のダウンロードボタンをクリックします。
    • iPad, iPhoneの場合、norman-marks-review-of-iia-satndards-draft-of-march-2023-1の続きの、小さな黒い楕円に白抜き文字のDownloadをクリックします。
    • 他の機種の場合、適宜ご対応をお願いします。
  3. Norman Marks氏が独自に実施した、グローバル内部監査基準の草案についての公開サーベイ結果が「Poll is now closed. 118 have now voted!」として公表されています。118人が意見を寄せています。

2. Hal Garyn氏のグローバル内部監査基準への10項目の意見

Hal Garyn氏と面識はありません。

Hal Garyn氏の公開書簡は、内部監査人協会(IIA)にあてられたもので、グローバル内部監査基準の草案の好きなところを簡記し、草案全般に関し、考え直してほしい10項目について意見を述べています。公開草案全体の問題を手短に知るにはよい長さです。

  1. Hal Garyn氏の「An open Letter to the IIA Regarding the Draft Standards update(グローバル内部監査基準の公開草案に関する内部監査人協会(IIA))あての公開書簡)」(「Internal audit 360°(内部監査の独立情報サイト」)内)(2023.4.13)

3.Richard Chambers氏のグローバル内部監査基準へのワンポイント意見

Richard Chambers氏は内部監査人協会の前President(事務総長)であり、何度も訪日し講演を行いました。内部監査の実務経験もあり、著作には日本語翻訳版もあります。

Richard Chambers氏は、公開草案に全体として好意的としていますが、実務のわかりやすい一例をとりあげ、草案の問題を指摘しています。

  1. Richard Chambers氏の「Surprise! Proposed IIA Standards Will Mandate Internal Audit Ratings on Findings and Reports(びっくり!、内部監査人協会のグローバル内部監査基準の公開草案で、発見事項と報告書のRatingが必須になるぞ)」(2023.3.27)

3人の意見をざっくりまとめると

3人の意見は、角度は異なるがいずれも示唆に富み、グローバル内部監査基準を自分で考える上で大変参考になります。彼らが問題と考えるものの中には、日本ではさらに影響の大きそうなものもあります。彼らの意見を読んで、重要と思われるところをざっくりまとめると次の通りです。必ずオリジナルの情報を参照し、ご自身の判断でご利用ください。

Global-Internal-Audit-Standards-comment1
Global-Internal-Audit-Standrds-comment2
Global-Internal-Audit-Standrds-comment3

内部監査人協会へコメントを提出しよう

内部監査人協会は、グローバル内部監査基準の公開草案へのコメントを募集しています。設問も回答も日本語です。締め切りは2023年6月18日(日)です。ご照会いただいた内部監査部門長に、3人の意見を説明したところ、もう一度自分で草案を読んで、ぜひコメントを提出するとのことでした。

  • グローバル内部監査基準の日本語版と日本語のコメント提出は、Websiteにアクセス後、「Select Your Language Below」の「▶Japanese(日本語)利用可能」をクリックします。
    • 日本語版の草案は「最新の草案」をクリックし、PDFをダウンロードします・
    • 草案に対するコメントは、「オンライン・サーベイ」をクリックし、設問に従って回答します。
    • 回答の前に、「サーベイの質問」をクリックすると、質問内容を予め確認することもできます。